早速ですが、「ふくチャレ」の体験受入れを決めたきっかけなどをお伺いできますでしょうか?
はい。保育の現場というのは、時として閉じた社会になりやすい側面がありますので、園の子どもたちには様々な大人と関わる機会を持ってほしいという願いと、職員が日々努力している姿や、保育という仕事が持つ大変さ、そしてそれ以上の大きな喜びを、もっと広く世間の方々にお伝えしたいという強い想いがあります。「福祉の現場」は、ご存知の方とそうでない方との間に大きな隔たりがあることも感じておりますので、まずは「知っていただく」ことが大切だと考えました。「子どもと遊んでいるだけでしょう?」という声も耳にすることがありますが、実際には多くの工夫や細やかな配慮があることを、現場で直接感じていただければ幸いです。
実際に「ふくチャレ」で参加された方とお子さんたちとの関わりで、特に印象的だったエピソードはございますか?
子どもたちは、参加してくださった方々にたくさん遊んでいただき、「〇〇先生は、次はいつ来るの?」と心待ちにしている様子が見受けられました。男性の参加者の方に、1歳のお子さん自身が寝かしつけをお願いし、普段はなかなか寝付けないお子さんがその方の介助ですっと眠りにつく場面もありました。また、少しご年配の参加者の方には、子どもたちが自然な形で甘える姿も見られ、世代を超えた温かい交流が生まれていると感じます。
そういった交流は、既存の職員の方にはどのような影響がございましたか?
体験の方には寝かしつけなどもお願いすることがありましたが、職員の大きな負担増ということはありませんでした。むしろ、参加者の方から「今日、子どもたちはこんな様子でしたよ」と、教えていただく良い機会にもなりました。「現場の様子がよく理解できました」「子ども達と過ごせて楽しかった」という参加者の方からのお声も多く頂戴しています。
「ふくチャレ」を通じての採用面でのメリットはいかがでしょうか?
短時間の面談だけではなかなか掴みきれない、その方のお人柄や普段の仕事ぶりを拝見できるのが何より大きな利点です。2日間だけでも現場をご一緒することで、相互理解を深めた上で採用を検討できますので、非常に進めやすかったと感じています。お子さんたちへ温かく接してくださるお姿を直接拝見できるのは、本当にありがたいことですね。
職員の方々の温かい雰囲気や連携も素晴らしいと伺いました。
ありがとうございます。当園は、外部の方からも「先生方は大きな声を出さないのですね」とよくお褒めの言葉をいただきます。お子さんにお話しする際も、大きな声ではなく、一人ひとりのそばに寄って優しく語りかけることを大切にしております。職員は皆、本当に優しく、指示も的確です。お互いに細やかな配慮を忘れず、例えば参加者の方が新しいお子さんの名前をまだ覚えきれていない時には、そっと前で名前を呼んでくれるなど、そうした一つひとつの心遣いが、園全体の温かい雰囲気を育んでいるのだと思います。
チームワークも自慢でございまして、どこかのクラスが少し手一杯になっていると、他のクラスの先生が声をかけ、助け合うことが日常的な光景です。園全体で職員が無理なく、心にゆとりを持って保育に臨めるよう、皆で工夫しております。この「心のゆとり」こそが、質の高い保育には不可欠だと考えております。
園として特に力を入れていらっしゃる教育プログラムや取り組みはございますか?
お子さん一人ひとりの成長過程に丁寧に寄り添うことを目指し、「ラーニングストーリー」というニュージーランド発祥の手法を導入しております。これは、単に「何ができたか」という結果を記録するのではなく、お子さんが何に興味を抱き、どのように考え、試行錯誤を重ねたかという「学びのプロセス」を、物語のように記述するものです。これを年に一度、保護者の皆様にもご覧いただき、日々の素晴らしい成長の瞬間を共有させていただいております。
この取り組みを通して、私たち保育者自身もお子さんへの理解を一層深め、より豊かな関わり方ができるようになると実感しております。専門性を高めるため、ニュージーランドへの海外研修にも職員を派遣し、現地の保育を学ぶ機会を設けております。
他にも特色ある取り組みがあれば教えてください。
お子さんたちの豊かな経験を育むため、専門の講師をお招きしての多彩な活動や、年齢の異なるお子さんたちが自然に関わり合える開放的な保育空間の工夫、五感を刺激する食育体験などを大切にしております。それに加えまして、ICTの活用や法人内の他園との連携を通して、私たち職員も継続的に学びを深め、日々の保育の質の向上に努めております。これらの活動すべてが、お子さんたちの「やってみたい」という好奇心を引き出し、主体的な学びの力を育むことに繋がればと願っております。
塩田園長がお考えになる「園の魅力」を改めてお聞かせください。
やはり、職員の温かい人柄、そしてお子さんたちのために何ができるかを常に考え、学び続ける真摯な姿勢でしょうか。例えば、看護師や栄養士も非常に意欲的で、以前「お魚の解体ショー」を企画してくれた際には、お子さんたちの目が本当にきらきらと輝いていたのが忘れられません。そういった職員一人ひとりの「やってみよう」という前向きな気持ちが、園全体の活力の源になっていると感じます。
最後に、「ふくチャレ」への参加を考えていらっしゃる方にメッセージをお願いいたします。
参加をご検討中の方には、ぜひ一度、保育の現場を実際に体験していただき、お子さんたちと一緒に心から楽しんでほしいと願っています。その上で、「この仕事に挑戦してみたい」と感じられたら素晴らしいことですし、逆に「自分には少し難しいかもしれない」と感じることもあるかもしれません。ですが、それも体験してみなければ分からないことですから、まずは気軽に、楽しむお気持ちでいらしていただけたら嬉しいですね。
塩田園長、本日は貴重なお話を本当にありがとうございました。保育現場の温かさ、そして働く方々の想いが深く伝わってまいりました。
今回紹介事業所 はぐはぐキッズ二葉