本日はよろしくお願いいたします。まずは、自己紹介とゆたか保育園について教えていただけますか?
社会福祉法人ゆたか会のゆたか保育園で園長をしております、福田と申します。
当法人は「愛情あふれる保育」を理念に掲げ、子どもたちが「自分は大切にされている」と実感できる保育を目指しています。当園は今年で64年目を迎え、小平市で最も歴史のある保育園です。祖父が設立した園で、私自身も卒園児なんですよ。先日、体験に来てくださった方も卒園生で、3世代にわたって通ってくださっているご家庭もあります。法人全体で「地域の中で子どもが育っていく社会づくりの拠点になりたい」と考え地域公益事業に力を入れています。保育園が地域の中で子どもたちを育む場であり続けることを大切にしています。
毎日、子どもたちにたっぷりの愛情を注ぐ保育士さん。ゆたか保育園の理念『愛情あふれる保育』が日々の保育に息づいている。
ふくチャレにご参加いただいた理由について教えてください。
日々の生活の中で、子どもたちが育っていく社会が、必ずしも優しいとは言えないと感じることがあります。
そんな中で、少しでも社会を変えるきっかけになればと思い、ふくチャレの取り組みを知ったときに「これはいいな」と純粋に感じました。子どもたちは未来をつくっていく存在で、みんなの宝物です。高齢者も含め、すべての世代が幸せに暮らせる社会であってほしい。そのためには、まず「知ること」が大切だと思っています。知らなければ、優しくなりたくてもなれない。関わり方もわからない。だからこそ、保育の現場を実際に経験することに意味があると考えています。もちろん、保育士不足という課題はありますが、参加理由は「採用につなげたい」ではなく、保育園で働いていない方にも、子どもと関わる機会を持ってほしいという思いが強かったです。また、コロナ禍で地域とのつながりが減ってしまいました。以前は高齢者施設との交流や、地域のお店への訪問なども行っていました。
ふくチャレのような取り組みで、さまざまな世代の方と出会えることは、子どもたちにとっても貴重な経験になると思っています。実際、ふくチャレには学生さんから60代の方まで、幅広い世代の方が体験に来てくださっています。
ふくチャレを通じて、10名ほどの方が職場体験に来られたと伺いました。実際に受け入れてみて、いかがでしたか?
最初は「体験中にどんな仕事をお願いすればいいのか?」と悩みました。子どもと直接関わりたい方もいれば、不安を感じている方もいて…。中には「子どもの声が聞こえる場所で掃除などの作業をしたい」という方もいらっしゃいました。そこで事前にヒアリングを行い、「お子さんと接した経験はありますか?」などを伺いながら、希望や適性に合わせて内容を調整しました。無理なく参加できるよう工夫しています。高校生や学生さんも来てくれて、「将来、子どもと関わる仕事をしたい」と話してくれる方もいて、こちらも嬉しくなります。実際に体験することで「自分にもできるかも」と感じてもらえるのは、ふくチャレならではの魅力だと思います。
参加者の方の体験中にやってもらったことや、様子について教えていただけますか?
遊びの見守り、共有スペースの掃除、ランチルームでの食事やおやつ後の片付けなどをお願いしています。手作りおもちゃや運動会のメダルづくりなど、細かい作業もあります。職員の手が回らない部分――落ち葉掃きや掃除などをお願いできると、とても助かります。また、職員がオムツ替え等をしている間に、他の児童と絵本を読んだり、そばで見守ってもらえると安心です。「こういう作業は苦手です」「細かい作業はちょっと…」といった希望も事前に伺えれば、内容を調整できます。保育園側でも、あらかじめいくつかの作業を準備しておくようにしています。「何をしたらいいですか?」と聞かれても、忙しい中では対応が難しいので、事前準備が大切だと感じています。また、栄養たっぷりの手作り給食とおやつも、1食350円で子どもたちと一緒に召し上がっていただけます。だしや食材にもこだわっていて、とても美味しいですよ!
お祭りや、地域イベントもたくさん開催されているのですね。
はい。子どもたちが喜んでくれることを、みんなで考えてたくさん企画しています。先日も地域の子どもたち向けの夏のイベントを開催し、大盛況でした。100人規模になることもあり、職員だけでは手が足りません。ボランティアの方の力が本当に必要です。ふくチャレの方にも、ぜひイベントの日に体験に来ていただけると嬉しいです。毎月1回、子ども食堂も開催しており、離乳食対応の回もあります。さらに、年3回のえんフェスも開催しています。秋と冬にも予定があるので、土曜日にお手伝いいただける方がいれば、ぜひお願いしたいです。
先日のえんフェス告知チラシ。地域の子どもたちに毎回人気のイベント。
実際に、ふくチャレから採用につながった方もいらっしゃったそうですね。
はい。参加者の方が体験最終日に「子どもと関わる仕事をするのが夢だったんです。すてきな経験をさせていただき、本当にありがとうございました!」と話してくださって。それならぜひうちで働いてみませんか?と声をかけ夕方の短時間勤務で採用させていただきました。保育の資格はお持ちではありませんでしたが、遊びの見守りや掃除などを丁寧にしてくださっていて、とても助かっています。保育園では、子どもたちが長時間過ごす分、職員の勤務時間とのバランスを取るために非常勤の方の力が必要です。資格がなくても、掃除や作業のサポート、子どもたちに温かく寄り添ってくださる方がいてくださると、本当にありがたいです。
ゆたか保育園の魅力についても、改めて教えていただけますか?
一番の魅力は、園庭の広さです。大きな木があり、虫も葉っぱもたくさん。自然と関わって遊べる環境です。ターザンロープで遊んだり、感触遊びをしたり、職員が工夫して子どもたちが全身の感覚を使って楽しめるようにしています。七輪で食材を焼いたり、焼き芋をドラム缶で作ったり――都内ではなかなかできないスケール感のある体験ができるのも、広さがあるからこそ。昔から地域に根ざしてきたことで、近隣の理解もあり、続けられているのがありがたいです。また、子どもたちの“ありのまま”を受け止める保育を心がけています。泣いたり怒ったり、いろんな感情を出す子どもたち。それを抑え込まず、安心して出せる場所であることが大切だと思っています。人と関わること、感情を学ぶこと――そうした日常が保育園にはあります。いろんなことがあるのが“普通”なんです。それを「大変だな」と感じる方もいるかもしれませんが、そうしたありのままの環境を、ふくチャレで実際に見てもらえると嬉しいです。
喜怒哀楽、毎日いろいろな表情を見せてくれる子どもたち。その姿に、職員の方々も園長先生も元気をもらっている。
最後に、ふくチャレへ興味を持っている方にメッセージをお願いします!
福祉の仕事は、人と関わる仕事です。責任もあるし、体力も心も使います。でも、それを上回る喜びや、力をもらえる瞬間がたくさんあります。保育の現場では、子どもたちの笑顔や何気ないやりとりに、私たち大人が元気をもらっています。家でちょっと嫌なことがあっても、園に来て子どもたちの顔を見ると、自然と笑顔になれる――そんな場所です。仲間とその喜びを共有できることも大きく、他にはない素敵な仕事だと思っています。「人は一人では生きていけない」。支え合いながら生きていく社会の中で、誰かのそばにいる時間、関われる時間は、かけがえのないものです。資格や経験がなくても、「子どもと関わってみたいな」という気持ちがあれば、ぜひゆたか保育園にふくチャレで体験に来てください。たくさんの方に来ていただけたら嬉しいです。みんなでお待ちしております!
とても広く、自然がいっぱいの園庭。子供たちの笑顔と楽しそうな声で溢れかえっていた。